年齢と共に血管も老化する
年齢とともに体力が落ち、見た目の若々しさは失われていきます。
実は血管も同様に老化していることをご存知ですか?
そもそも血管の老化とは、血管の壁が厚くなる、もしくは、堅くなってしなやかさが失われることで血管が狭くなってしまうことを指し、この状態を「動脈硬化」と呼びます。
血液の流れが悪くなると、体全体への酸素や栄養の供給が滞りやすい状態になるため、体に対して様々な悪影響を及ぼしてしまいます。
代表的な病気と言えば、「心筋梗塞」や「脳梗塞」でしょう。
どちらも血管が塞がることで心臓や脳の一部の細胞が死んでしまう病気です。
その他にも、目に異常をもたらす糖尿病網膜症や腹部の腎硬化症など、血液に関係する病気に深く関わってきます。
血管の衰えは美容との関わりも深い
私たちの体は細胞で構成されており、成人が持つと言われている細胞数は約37兆個。
細胞ごとに異なる役割を持ち、健康や美容、つまり、生命を支え続けています。
人間が若さを保っていられる理由は、定期的に細胞が新しいものに生まれ変わっているから。
細胞も時間が経つにつれて衰えたり、何かの原因で傷ついたり、壊れてしまったりします。
皮膚は繊維芽細胞などからつくられており、表面を覆っている角質細胞は定期的にはがれ、新しいものに代わる。それによって、美しい肌が維持されています。
いわゆる肌のターンオーバーと言われる現象。しかし、これを促進するには血液の流れが重要です。
肌をつくる細胞も栄養が供給できなければ、新しい皮膚を生成されません。
さらには老廃物の排出まで滞ってしまいます。
その結果、ダメージを受けた皮膚の再生が遅れ、肌荒れやニキビ、シミ、シワが改善されにくい状態になってしまいます。
また、痩せにくい人も血液循環の悪さが要因になっている場合も。
血液の流れが良いと体温は高くなり、代謝も良くなるのです。
しかし、血流量が悪い人は冷え性になりやすく、代謝も低下するため脂肪が燃えにくく、太りやすい体質になってしまいます。
トラブルの少ない若々しい肌や痩せやすい体になるためには、血液の流れを良くし、さらに、血流量を増やすことが重要なポイントです。
一酸化窒素は柔軟性のある血管にしてくれる
血管の老化は主に加齢が原因ですが、他にも喫煙や糖尿病、肥満などの生活習慣から進行する場合もあります。
そのため、まだ若いからと言って油断はできません。
まずは、規則正しい生活習慣を心掛けることが大切です。また、血管内の一酸化窒素を増やすことも血管の強化には最適です。
一酸化窒素は、窒素と酸素の組み合わせによる物質のこと。
自動車の排気ガスなどに含まれるこの物質は、大気汚染の原因とされています。
しかし、ルイス・J・イグナロ博士の研究では、体内で発生する一酸化窒素は血管周辺の平滑筋を柔らかくし、血管を拡張する作用があることが明らかになりました。
血管の老化が進んでいる人は、血管内の一酸化窒素が減少している可能性があるため、増やしてあげることで血行改善につながります。
一酸化窒素を増やす方法は運動と食事
血管内の一酸化窒素を増やす方法は運動と食事の2つです。
一酸化窒素は血管にある血管内皮細胞でつくられており、血流を速くなることでその生成に関わる酵素が働き、酸素と窒素の合成を促進します。
血流を速くさせる手段として有効なのが、筋肉を動かす運動。
簡単なストレッチや動くことを意識した動作からでも、一酸化窒素を増やすことは十分に可能です。そのため、運動が苦手な方でも簡単に取り組めます。
また、一酸化窒素を体内でつくるためには、生成や物質の保護に関係する栄養を蓄えることもポイントです。
一酸化窒素を簡単に増やす運動法
手の平やお腹に力を入れて緩める
筋肉に力を入れて緩めるという動作を1日数回行うだけでも、血流は速くなって一酸化窒素がつくられやすくなります。
たとえば、両手を前に出し、手の平をくっつけて押し返すように力を入れ、5秒経過したら緩めましょう。
腕だけではなく、大胸筋に力を入れる意識を持つと、より筋肉に効果的です。
他にも、お腹や脚なども気軽にストレッチすることができます。
腹筋や背筋を意識する
力を入れる運動に慣れたら腹筋と背筋への負荷を増やしてみましょう。
筋トレとする時は部分的な筋肉よりも、体の表裏の筋肉を意識的に使うことがポイントです。
積極的に動くことを心がける
毎日外に出て歩くという生活が理想的ですが、自宅などの室内でも動くことを意識するだけで、血流の速度を上げることができます。
また、立ち止まっている時につま先立ちし、かかとの上げ下げを繰り返すだけで、ふくらはぎの筋肉へのアプローチが可能です。
体のバランスが悪い人は机などに手を置き、体を支えながら行ってください。
一酸化窒素を簡単に増やす食事
一酸化窒素はアミノ酸の一種である「L-アルギニン」から生成されています。
アミノ酸はたんぱく質を構成するため、たんぱく質を含む食材を積極的にとりましょう。
L-アルギニンが含まれる食品には、赤肉や鶏肉、魚、大豆、ナッツなどがあります。
他にも、葉酸やαリポ酸も一酸化窒素の増加に関わるので、合わせてとりたい栄養素です。
産生した一酸化窒素を保護するために、抗酸化作用を持つ食材も摂取しましょう。
緑黄野菜やフルーツなどのビタミンCやビタミンE、ポリフェノールといった栄養素を含む食材がおすすめです。
近赤外線による効果
一酸化窒素は生活習慣によって増加できますが、その作用が表れるまでにかなりの時間がかかります。また、継続しなければ効果は期待できません。
だからこそ、もっと手軽に血管を拡張し、機能の再生を高めたいというのであれば、近赤外線の利用がおすすめです。
近赤外線は、肌を透過して血管内の一酸化窒素を増やし、血管を拡張させる作用があることが明らかになっています。
血管径を10~20%広げ、血管量を約140%増やしてくれるのです。血流量が増えることで栄養や酸素の供給がスムーズになります。
日頃の生活を通して、一酸化窒素がつくられやすい体内環境を意識することが大切だといえるのです。